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2013年 05月 29日

4月29日@フランケン地方出張記2013年春

起床7時。
窓から外を眺めると、あいにくの曇り空。
身を乗り出してみると、ひんやりと肌刺す冷気。
昨日の疲れが残っているのを感じながら、朝食の際エスプレッソをぐいと飲み、部屋に戻って身支度を整えます。

今日と明日訪問する未知のワイナリーは、どちらもビオワイン(Biowein)生産者(日本では「オーガニックワイン」の方が通りがいいかもしれません)。
はからずも、出張終盤のテーマは「ビオ(Bio)」ということになりました。


*

10時少し前、ヴュルツブルク駅に隣接するバスターミナルへ。

運賃を払おうと前から乗車すると、運転手さん朝ごはん食べてました。
タッパーを抱えてトマトをもぐもぐ、キュウリのピクルスをポリポリかじってます。

しかしまあ、こちらのバス運転手さんはツッコミどころいっぱいです。

Würzburg Busbahnhof 10:07---( Bus55 )--- Theilheim 10:25(3,50ユーロ)

今日の目的地はタイルハイム(Theilheim)。
H・デピッシュ醸造所(Weingut H. Deppisch)は、この小さな村にあります。
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当主は所用で出かけているとのことで、お父さまが対応してくださいました。
ニコニコと笑みを絶やさず、悠揚迫らざるといった形容がぴったりな方。

― あなたはいったいどこから、私どものワイナリーのことを?

― ビオワインに関心があって、インターネットで調べてみたところ、あなたがたのワイナリーを見つけました。
国際的なビオワインのコンクールで金賞を受賞したワインとはいかなるものか興味が湧いたのです。

そこまで話すとお父さま、「せがれはとてもいい仕事をしている、あれは本当に誇らしかった」と相好を崩します。

― しかし、あのワインはすでになくなってしまいました。反響がとても大きく、注文が相次いで。

― そういうことも予想していましたので、お気になさらずお願いします。では、同じ銘柄の12年産はありますか?

「 はい、もちろん。でもまだエチケットができていなくて…」と申し訳なさそうに言いながら、ボトルを出してくださいました。
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試飲をさせていただいたのは以下の3銘柄です。

01)2012 Theilheimer Altenberg Riesling Qualitätswein
02)2012 Theilheimer Altenberg Blauer Silvaner Qualitätswein
03)2012 Theilheimer Altenberg Silvaner Kabinett trocken

初めての品種だったのが02のブラオアー・ジルヴァーナー。
ジルヴァーナーより少しやわらかみがある口当たりでした。
01のリースリングは馥郁たる香り、しかもキリッとしまったフランケン・リースリングのテイストを感じました。
美味!(lecker!)
しかし、なんといっても03がとてもよかったです。Sehr gut!
お父さまも「ブラオアー・ジルヴァーナーよりこちらの方がずっといいなあ」とおっしゃっていましたが、私も同感。
「ビオワイン」といった肩書を抜きにしても高評価は疑いない、力強いジルヴァーナーです。

「しかし」とお父さま、首をひねりながら、続けます。

― どれもこれも、まだ詰めたばかりで、若すぎるような気がする。

なんて正直な方なんだろうと感動しました。
商売っ気たっぷりな人間だったら、そんなことには触れないものを…

*

ところで、たった3銘柄しか試飲していないのかと訝しく思われるかもしれません。
お父さまのお話が面白く、試飲そっちのけでいろいろお伺いしていたというのが正直なところです。
もちろん、じっくり3銘柄を味わいながら、ですが。

― この醸造所はでは、年間どのくらいの本数を生産しているんでしょうか?

― 15,000本くらいでしょうか。作付面積は3ヘクタール弱といったところで、規模は最小の部類に入ります。

― 無農薬ということになると、畑のケアが大変だと素人の私などは考えてしまいます。

― その通りです。ブドウへのデリケートな接し方が必要になり、普通より手間ひまかかることは間違いありませんね。

― 生産本数が少ない、すなわちこの醸造所のワインは希少ということになりますが、どのようなお店で販売されているのでしょう?

― 私どものところでは、「Heckenwirtschaft(ヘッケンヴィルトシャフト)」を年2回やっていて、一回8週間のうち木曜から日曜までお客さんがやって来ます。まず挙げられるのがそこで消費される分で、その他はドイツ各地の「Bioshop」で販売されている、といったところでしょうか。

ビュルクシュタットでは「Häckerwirtschaft(ヘッカァヴィルトシャフト)」。
タイルハイムでは「Heckenwirtschaft(ヘッケンヴィルトシャフト)」。
単語は違っても、ワイナリーによる「時期限定ワイン酒場」であることは同じです。

それはともかく、限られた範囲でこの醸造所のワインが愛好されているということは、よくわかりました。
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ウサギに見守られながらの、もはや試飲とはいえない、単なる飲みながらの話題は、ご自身のことにも及びました。

― 私がここに醸造所を開く前は、ビュルガーシュピタール(Bürgerspital)で働いていました。

― どのくらいの期間でしょうか?

― 34年です。

― それは長いですね。

― ずっと現場責任者として、ブドウ畑に出ていました。時にはしんどい仕事ではありましたが、自然と共に野外で過ごした34年は素晴らしい時間でした。

「今は畑を離れ、年金生活者ですよ」と笑うお父さまの横顔を見ていると、自然と畏敬の念がこみ上げてきました。
忘れがたい、ひとときでした。


会話も一段落したところで、それではぼちぼちおいとますることにいたします、と申し上げたところ、「ちょっとお待ちください」とお父さま。
倉庫の方へ行き、空いたボックスボイテルを持ってきました。

― エチケットのないボトルは寂しいので、これを写してやってください。
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今日は本当にありがとうございました。いつまでもお元気で!と申し上げると、どうぞこれからも良いご旅行を、と手を差し出してくれました。
大きく、厚く、そしてあたたかい掌でした。

* * *

醸造所を出て歩き始めたところ、かなりワインが回っていることに気がつきました。ふらっとします。
これはいけないと思い、持参したミネラルウォーターをがぶがぶ飲み、道端で休憩です。
お昼時なのですが、食欲が湧かず、喉がやたらにかわきます。

こういうときにバスに乗ったら気分が悪くなりそうだと、座りこんで思案すること5分。
少し休んでから酔い覚ましにワイン畑の中の散歩道を歩くことにしました。
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どのワイン畑でも、たいていハイキングコースが整備されていて、表示板が立っています。
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タイルハイムのアルテンベルク(Altenberg)畑。タンポポの花がきれいでした。
15分ほどさらに歩くと、下の車道に出る坂道が見えてきます。
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肌寒いくらいの天気だったのがよかったのか、このあたりではだいぶ気分が持ち直してきました。一安心です。
さらに車道を20分ほど歩いたところ、隣村ランダースアッカー(Randersacker)の入口にたどり着きました。

が、一難去ってまた一難、気分の悪さが消えたら、今度はお腹が急激に減ってきました。
空腹で目が回りそうになりながら歩くことさらに10分、奇妙なのぼりが見えてきました。
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「白アスパラガス販売しています」。
昼ご飯はこれで決まったなと独りごち、完全に白アスパラモードに入った私、ひたすら食事処を目指し、さらに歩くこと10分、レストラン発見!
いささか格式の高そうなお店でしたが、もはや我慢もきかず、気がついたら席に着いてビール頼んでました。
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黒パンを齧りながらちびちびビールを飲み、待つこと10分で念願の「フランケン風白アスパラサラダ」登場。
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堪能しました。
茹でた卵を細かく刻んでまぶすのがフランケン地方の流儀なのかわかりませんが、酸っぱいドレッシングとよくあっていました。
クリームスープ以外の白アスパラ料理で、一番美味しかったのがこのサラダだったように思います。
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太く、まことに食べごたえがありました。
あとで調べたら、ランダースアッカーでも名の通ったお店のようです。
名前は「ガストホーフ・ベェーレン(Gasthof Bären)」。お薦めです。

大満足でお店を出て、バスでヴュルツブルク市内に戻ります。
(帰りのバスに乗ったバス停と発着時刻をメモに残すのを忘れました。。
運賃はランダースアッカーからヴュルツブルクのSanderringまで3,05ユーロ)

12分くらいで到着しました。
今度は腹ごなしに路面電車沿いにずっと歩きます。
大聖堂そばの「NORDSEE」で、面白いものが売られているのを発見。
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ヴュルツブルクで、寿司が持ち帰りで買える日が来るとは。9ユーロと結構高く、味は日本のそれに遠く及ばないことは重々承知していたものの、つい購入。

ホテルに戻ったのが15時半。
前後不覚に眠りこけ、目覚めたのが20時。
シャワーを浴びて洗濯をし、ヴュルツブルク最後の夜だからと、街をあちこち歩き回り、夜景を堪能。

その後、寿司。コメントは控えさせていただきます。。
ともかく、歩き回った一日でした。
就寝23時。


(4月29日、了、19748歩)
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by marienberg | 2013-05-29 23:09 | ドイツ出張記 | Comments(0)


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