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2013年 05月 31日

4月30日(前)@フランケン地方出張記2013年春

朝食後、荷造りをしたあと郵便局およびデパート等に行き、発送やおみやげ購入に奔走。
明日5月1日はMayday、日本では平日ですがドイツでは休日。
金融機関や商店は閉まってしまうので、今日のうちにいろいろとやっておかねばならないのです。

そんな中、日本からメールで30日午前にお伺いする旨伝えていたビュルガーシュピタール醸造所の輸出担当者マクレガーさんに電話を入れ、10時半でよろしいですか?と確認をとりました。
わかりました、お待ちしていますとの返事に安堵。

出発前から楽しみにしていた日が、やってきました。
ビュルガーシュピタール醸造所(Bürgerspital Weingut)訪問です。
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私どものショップがオープンした2年前からのお付き合いですが、個人としてはもう四半世紀近く、ビュルガーシュピタール醸造所のワインに親しんできました。
旅行でヴュルツブルクに立ち寄った際は必ず試飲・販売コーナーに赴き、日本への発送をお願いしたものです。
以前から航空便はあったものの、もっぱら輸送費が安い船便でお願いしましたが、日本まで1ヶ月半くらいかかり、到着が待ち遠しかったものでした(現在は船便はなくなっています)。
かつては「日本への発送を承ります」といった旨日本語で記されている看板が出ていて、ヴュルツブルクに来た観光客の目を引いていました。
ここでワインを買ったり送らせたりした方は少なくないと思います。

*

10時半、勝手知ったるワインシュトゥーべ(Weinstube、ワインレストラン)でもヴィノテーク(Vinothek、試飲コーナー)でもなく、事務所へ赴きます。
新しく、きれいな内装で、700年近い歴史を誇るワイナリーのイメージは微塵もありません。
案内された待合室にいても、ひっきりなしにかかってくる電話対応の会話が耳に入ってきます。

まるで大企業のオフィスです。
昨日訪問したH・デピッシュ醸造所とはまったく様子が違います。
それはそうでしょう。かたや年間82万本を超える生産本数を誇る、フランケン地方のみならずドイツ国内でも有数の巨大醸造所、かたや年間1万5千本の家族経営ワイナリーです。どちらのワインが良い悪いという問題では決してなく、規模が違うのです。

5分ほど経過した頃でしょうか。
にこやかな笑みを浮かべたマクレガーさんが現れました。
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ビュルガーシュピタールのHPでお顔は存じていましたが、軽快できびきびとした身のこなし、想像していたよりはるかに若々しい方です。

「ようこそいらっしゃいました!」

がっちり握手。
会議室のような、机とイスしかない部屋に通され、まずはよもやま話。
一段落したところで「それでは、プローべ(Probe、試飲の意)を始めますか?」とマクレガーさん。

「望むところです!で、ヴィノテークに移動するのですか?」

いえいえとおもむろに立ち上がったマクレガーさん、とある引き出しに手をかけます。
書類等が入っているとばかり思っていた引き出しは…なんと冷蔵庫ではありませんか!
中にはボトルが整然と収められています。
唖然としている私を尻目に、マクレガーさんはボトルをどんどん無造作に取り出していきます。
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「せっかくですから、下のクラスから上へと順番に試飲してみましょうか?」

異存などあるはずもありません。
かくして始まったティスティングは、以下の順番でおこなわれました。

01)2012 Gutswein Riesling Qualitätswein trocken
02)2012 Gutswein Silvaner Qualitätswein trocken
03)2012 Würzburger Riesling Qualitätswein trocken
04)2012 Würzburger Silvaner Qualitätswein trocken
05)2012 Würzburger Scheurebe Qualitätswein trocken
06)2012 Würzburger Innere Leiste Silvaner Qualitätswein trocken
07)2012 Randersackerer Teufelskeller Riesling RR Qualitätswein trocken
08)2011 Würzburger Stein HAGEMANN Riesling GG Qualitätswein trocken
09)2011 Würzburger Stein Silvaner GG Qualitätswein trocken
10)2012 Würzburger Stein Weißer Burgunder Qualitätswein trocken

今年からビュルガーシュピタール醸造所は、所属するVDP(Verband Deutscher Prädikatsweingüter、ドイツ高品質ワイン生産者連盟)の方針に従い、ワインのクラス分けをおこなっています。
試飲したワインをクラス別に分類するとこのようになります。

01,02)Gutswein(グーツヴァイン)
03,04,05)Ortswein(オルツヴァイン)
06,07,10)Erste Lage(エルステ・ラーゲ)
08,09)Grosse Lage(グローセ・ラーゲ)
(最後の10で再びエルステ・ラーゲのワインに戻っているのは、私が試飲を所望したからです。念のため。
なお、この「クラス分け」に関しては、いずれエントリを改めて、書こうと思っています)

新しいワインリストは出発前に入手しており、私がもっとも注目していたのは05でした。
マクレガーさんに「ビュルガーシュピタールがショイレーべの辛口を出したことが今までありましたか?」とお伺いしたところ、「ありません、このワインが初めてです」と大きく頷いていました。
キリッとした飲み口が印象的でした。喉ごしもよく、これは和食に合うと確信。
私はインネレ・ライステ畑のファンなので06も気になっていました。マイルドな味わいで、こういったジルヴァーナーは好みです。
07は私が大好きだった「ランダースアッカー・トイフェルスケラー・リースリング・シュペートレーゼ・辛口」の後継者というべきワイン。あの濃厚なコクと華やかな香りを思い出しました。
グローセ・ラーゲでは08のハーゲマンが美味しかったです。
10はヴァイサーブルグンダーを愛好するお客さんがいらっしゃるので、出来を確かめるべくリクエストしたものです。
以前のシュペートレーゼと遜色ありません>Aさん

*

その後、マクレガーさんとお昼をご一緒することになり、新装なったばかりのヴィノテークへ。
そこで、ビュルガーシュピタール醸造所・経営責任者(Gutsdirektor)のロベルト・ハラーさんと遭遇。
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再会を喜び合います。
4月中旬に来日されたハラーさんとは、都内でお目にかかっているので久しぶりという感じはしませんが、ヴュルツブルクでの、それもビュルガーシュピタールでの再会というのは格別です。

しかし大変お忙しいご様子で、ヴィノテーク2階でメディアの取材を受けたり、醸造所外壁部分の工事現場に出向いたりと、分刻みのスケジュールをこなしているといった感じです。多忙な方だとつくづく思いました。

私とマクレガーさんは向かい合い、食事をとり、ライトなジルヴァーナーを楽しみながら歓談。
注文したのは、飽きもせず、
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白アスパラのクリームスープ。
そして、
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「シュタイン=ハルフェ」という名前がついたサラダ。
シュタイン畑の中でもっとも陽あたりが良い「ハルフェ」(Harfe)と呼ばれる一角はビュルガーシュピタール醸造所の単独所有ですが、その名がついたこのサラダ、量が多く、ちょっと残してしまいました。。

フォークを握っている間も、マクレガーさんとの会話は続きました。
お名前からおわかりの通り、マクレガーさんはドイツ人ではなく、イギリス人。
もっと詳しく言えば、スコットランドにそのそのルーツはあります。
お父さまがスコットランド、お母さまがドイツのご出身で、それゆえ「スコットランドとドイツがW杯で対戦したときはホント困った」そうです。
そんな話をユーモラスに披露してくれるマクレガーさんは、初対面にもかかわらず、古くからの知己のような気がしました。

やはり、Eメールのやりとりだけでは、味気ない。
会って、相手の目をちゃんと見て、話をすることが一番。
そこにお酒があれば、さらに、いい。

ここで飲んだジルヴァーナー、さきほど試飲した上位クラスのワインより、ずっと美味しく思えました。

*

マクレガーさんと別れて駅へ向かう途中、私はさきほど交わした会話を思い出していました。
それは、あと3年後の2016年に創立700年を迎えるビュルガーシュピタール、記念式典といったセレモニーは催されるのですかという私の問いに対してマクレガーさん、

「大切な節目の年です。700年ですから。必ず記念行事はあるはずです」

「では、日にちが決まりましたら、すぐに教えていただけませんか?私もその場にいたい。出席したいです」

「わかりました。お約束します」


あと3年後…ショップをしっかり軌道に乗せなきゃ、式典参加どころじゃなくなるな。
がんばろう!


空いているコインロッカーを見つけ、カートを押し込み、さてオーガニックワインだと気合をいれ、電車が何番線発か確認するため、黄色の時刻表に目を凝らします。
心配なのは、空模様だけでした。

(4月30日、続く)
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by marienberg | 2013-05-31 01:00 | ドイツ出張記 | Comments(0)


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