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2013年 05月 17日

4月25日(後)@フランケン地方出張記2013年春

ツェントグラーフェンベルク(Centgrafenberg)の畑に到着したのは17時半少し前。
上方の農道からは隣町ミルテンベルクの町並みも遠望できます。
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なだらかな斜面にブドウの木が整然と植えられています。
その眺めに圧倒されます。
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感嘆の声を上げる私を見てうれしそうなゲルハルトさん。
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「今はブドウの若芽が出てくる時期です。
この時期の大事な仕事は、剪定です。
ひとつの枝の節にたくさん房がなったら、全部に養分が行きとどかず、ワイン造りに不適格な房ばかりになってしまいます。
だからこうやって(指で若芽のひとつを除去する)剪定することが重要なのです」

「これだけのブドウの木を注意深く観察し、剪定するのは大変な仕事ですね」

その通りですとゲルハルトさん、腰をかがめるポーズをとりながら「ずっとこんな姿勢で仕事をしますから、ときどき腰が痛くなりますよ」。

*

ブドウ畑見学から戻ると、醸造所でお客さんに対応していた(実際、私が試飲にいそしんでいた約2時間のあいだも、客が途絶えることはありませんでした)ヘルガさんから、夕食をどこで食べるか決まっていないのなら一緒にどうですか?と訊かれました。
ありがたい申し出を断る理由などありません。
ぜひともお願いしますと答えると、「ではHäckerwirtschaftをやっているところへ行きましょうか」。

Häckerwirtschaft(ヘッカァヴィルトシャフト)とは、ブドウ生産者やワイナリーが期間限定で営業するワイン酒場、といったものでしょうか。
ちなみに2013年、ビュルクシュタットでは12月9日から年末の時期を除いて、ほぼ一年中、町のどこかで「期間限定ワイン酒場」が営業しています。
シュティヒ醸造所担当は、もう終了した4月1日~13日と、7月2日~11日の2回。
「基本的に料理はすべて私が作りますが、さすがにその時期は忙しいので3名の女性に調理のヘルプや配膳のアルバイトをお願いしています」とはヘルガさんの弁。

これは面白そうと、ゲルハルトさんに連れられ、わくわくしながら出向いたのは、同じ通りのFarrenkopfさんのところ。
驚いたことに、玄関前にしつらえられた野外のテーブルはほぼ満席!
歩いていても、車の中から眺めても、ビュルクシュタットの通りには人の気配がまったく感じられなかったものですが、ここだけ別世界のようなにぎわいです。

屋内の席に案内され、注文したのはフランケン風ソーセージとポテト、そして辛口のジルヴァーナー。
ものすごいボリュームで、少し残してしまいました…
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あとから合流したヘルガさんが注文したのが、ソーセージを刻んだサラダ。
私も、コレを注文すればよかった。
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夕食をとりながら、今日一日お付き合いしていただいたお礼を述べ、町や畑の印象、ワインや醸造所の仕事に関する感想など話しました。

「醸造所経営というのは、本当に大変な仕事であると思いました。
ブドウ畑で地道な作業を積み重ねていても、天候次第で不作もありえますよね?」

その通りです、自然の力にはあらがえませんねとゲルハルトさん。
ヘルガさんが続けます。

「今はお客さまの対応と経理を担当していますが、私も上の息子が産まれるまで畑に出ていました。
だから夫の仕事の過酷さはよく理解しているつもりです。収穫したブドウ粒の選別は醸造所内でおこなうんですが、うちでは機械に頼らずすべて手作業でやっていて、終わる頃には私も手のひらが赤くなってしまうんです」

「家族経営のワイナリーは、夫婦の絆が強固でなければ成り立たないとつくづく思いました。
そういえば、私がお世話になっているワイン仲介業者さんがこう言っていました。
『長年、家族でやっているワイナリーを見てきたが、良いケースも悪いケースも数限りなく見てきた』と」

おふたりとも大笑い。
私たちはまちがいなく「良い例」よねえと微笑みながら夫のゲルハルトさんを覗き込むヘルガさんの優しい眼差しに、このご夫婦の深い信頼関係が感じられ、心温まる思いがしました。

*

残念ですがこれから集会があって、と言うゲルハルトさんのご迷惑になってはいけないと、席を立ったのが19時半少し前。
店の前でお別れです。

「よい旅をお続けください。有意義な出張でありますように」

「ありがとうございます。日本に戻ってからどのワインを注文するかじっくり考えますね」

*

握手しておふたりと別れてホテルに戻る道すがら、ふと考えました。
これから「集会」って…あんなにワイン飲んだあと会議に臨んで、議論したりできるのだろうか?
鬼のようにアルコールに強いゲルハルトさんのことだから、たぶん大丈夫なんだろうな…

人のことを心配している場合ではありませんでした。
ホテルに帰り着き、部屋の中に入り、ベッドにごろんと横になった瞬間、私は意識を失っていました。
2夜連続の寝落ちとなりました。。


(4月25日、7374歩、了)

by marienberg | 2013-05-17 10:17 | ドイツ出張記


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